離島キッチンでは毎月スタッフ1名が好きな離島に「食材さがしの旅」に出かけます。
そこで出会った農産物や海産物、現地の方々のお話しをもとに、
月替わりの「今月の島の特別メニュー」をお出ししています。
およそ一年前、私が離島キッチンのスタッフ募集に出会った時のことです。
給与、休日、福利厚生...。
求人募集を見るときはこういった条件を見なくてはならないのかもしれませんが、
とにかく仕事はその内容で決めよう、と思っていた私の眼には
それらの項目は殆ど目に入ってきませんでした。唯一、私の目に飛び込んできたのが、
「福利厚生:食材探しの島旅(約1週間)」
の1行。そんな福利厚生聞いたことない。
知らないところに行って、まだ見ぬ食に出会う。それまで旅は好きだったけど、
自分の見たいものを見てやりたいことをやるいわば「消費の旅」。
でもこれは違う。小さい頃の憧れだった某人気旅番組のミステリーハンターのように、
自分で足を運び、触れて確かめたものを沢山の人に紹介する。
企業勤めの頃は旅が好きでも、行ける機会は滅多にありませんでした。
自分の旅を通して他の人にわくわくを与えられたら。ああどこに行こう。
と、まだ採用も決まっていないのに自分の妄想は膨らみました。
今でも、食材探しの島旅企画のことをお客さまにお話しすると、
「うわ~楽しそう!」と 目をキラキラさせる方が多いのも、「島旅」という言葉に素朴さや、
自らの足で何かを探す真っ直ぐさや強さへのイメージがあるからなのだろうと思います。
神楽坂店のオープン以来、毎月スタッフが島へと旅立っていきました。
こうさんは小豆島。
佐藤さんは石垣島。
菊地さんは八丈島。
松本さんは対馬。...
皆帰ってきたときは、島の食材のみならず、歴史や島の人たちの暮らしぶりまで知っていて、
それぞれの島のエキスパートがお店に増えていきました。
そして、2016年6月。ついに私の番。
「辻原さんはどこの島に行くの?」
なんとなく、じめじめしている苦手な梅雨を忘れられるところに行きたい。