掲示板

2016年10月05日

献立紹介

【隠岐のおかず三種盛り】島根県・隠岐島

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『こしょみそ』(海士町)
炒った大豆と、米(もち米)、麦を使い、大豆や麦の粒状が残っているのが特徴のこじょうゆ味噌と野菜、サザエを炒めた郷土料理です。
『アラメの煮物』(隠岐の島町)
漢字で書くと「荒布」。ワカメより肉厚で、荒々しい感じがするのが由来です。日本海の荒波に揉まれて育つため、肉厚で濃厚な味。
『モズクの酢の物』(海士町)
能登半島や山陰沿岸に自生する「糸モズク」は、
細く表面にヌメリがあり、ツルツルとした口当たりが特徴です。

文 有田 弥生
写真 幸 秀和

2016年10月05日

献立紹介

【白いかの煮付け】島根県・隠岐島(海士町)

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「白いか」は隠岐の方言で「剣先イカ」のこと。
夏から冬にかけて獲れ、独特の甘みと白く透き通る身が特徴的で、イカの王様とも言われています。小ぶりなイカを丸ごと甘辛く煮付けております。
上品な肝のコクが染み込み、噛みしめるほどに旨味が広がる逸品です。

文 有田 弥生
写真 幸 秀和

2016年10月05日

献立紹介

【メカブの天ぷら】島根県・隠岐島(海士町)

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メカブはワカメの一部で、根に近い肉厚でヒダの多い部分のことを言います(ワカメは葉の部分)。
ジューシーな食感に芳醇な海の恵みを隠岐島の「海士の塩」を付けてご賞味ください。

文 有田 弥生
写真 幸 秀和

2016年10月02日

行商日記

行商日記 第25回

キッチンカーでの夜の営業は神田の路地裏。
外灯がポツンとともるだけの、都心とは思えないほどに寂しい場所でした。
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炭を起こしてさざえの壺焼きを売り始めるも、誰一人として見向くこともなく。
ただ炭の煙だけが、都会の夜空に吸い込まれるように消えて行きます。

100mくらい離れた交差点には、仕事終わりのサラリーマンの姿がチラホラと。
ぼくは、自分のことを「さざえ売りの少女」と名付け、さざえを手に交差点に向かいました。

「おじさん、さざえはいりませんか?」
「美味しい隠岐のさざえですよ」
「1個300円です。さざえはいりませんか?」

みな不思議なものを見るような目でぼくを見つめ、そそくさと去って行きます。
しばらくの間、信号待ちのサラリーマンの方々にさざえを売る戦法を繰り広げましたが、まったく戦果がなく、ぼくは敗将のようにうなだれてキッチンカーに戻りました。

そして、冷めてしまったさざえの壺焼きを1個ずつ頬張りながら、
ぼくは少年時代の秋田での温かい思い出を一つ一つ思い出していました。

しばらくして、小雨が降り始めた深夜10時すぎ。

一人の女性が「さざえカレーはまだありますか?」と
消え入るような声でキッチンカーにやってきました。

その女性は透き通るような、そして吸い込まれるような美しさで、ぼくはお客様に大変失礼ながらも、ついに死神がやってきたと内心おののいていました。

「···はい、まだありますよ。お持ち帰りでいいですか?」
「いえ、あの、お邪魔じゃなければ、ここで食べていってもいいですか?」

小雨の降りしきる人気のない神田の路地裏で、死神的に美しい女性が
さざえカレーを食べる光景は、どことなく淫靡で背徳的な風情がありました。

食べ終えた後、女性は「一杯いいですか?」と焼酎の喜界島を指さしました。
そして「少しお話させて頂いてもよろしいでしょうか?」と丁寧に話かけてきました。

ぼくは作業の手を止め、彼女の向かい側に椅子を置いて座りました。
それから、彼女はポツリ、ポツリと、昔のとある出来事について語りはじめました。

文 佐藤 喬
写真 幸 秀和

2016年09月29日

離島入門

離島入門 第9回 食材探しの旅 利尻島2

「時間がないんです!お願いします!」
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稚内空港に着き、フェリー乗り場に向かうバスに乗ろうとすると、こんな声が聞こえ てくる。パンツルックに黒いショルダーバッグと小さなキャリーバッグ、そして右手 に小さな旗。ああ、ツアーコンダクターの方だ。とすぐに分かりました。

6月の稚内行きの機内は、身軽な一人旅らしき人や、トレッキングが似合いそうな活 動的なご夫婦などで賑わっていました。一方、自分の恰好は、背中にリュック、大き なスーツケース、片手に紙袋。明らかに浮いているこの姿もすべては島で使う「武器」のため。そう、荷物の半分を占めるお菓子は初めて会う人とお近づきになるのに 欠かせません。美味しいものは人を明るく幸せにするというのが私の信条。
羽田空港のお店の人に、「海外にご出発ですか?」と屈託のない笑顔で話しかけられるが気に しない。気にしない。

バスは満員。体はなんとか入り込むスペースはあってもスーツケースまでは乗り切ら ない。今このバスに乗らなければ。早くも信条が揺らぎ、大荷物を恨みつつ立ち尽く していると、さっきのコンダクターさんがこちらに気づき、

「大丈夫?ほらここ、荷物と一緒に乗って。」
と、バスのお客さんに奥へ一歩詰めるよう声をかけてくださいました。

話を聞くと、バスに乗っていた殆どがこの方のツアー客で、飛行機の遅延により、あと十数分で稚内駅に着かなければ間に合わないらしい。そんな状況下でも私を気遣っ てくれたことに感謝が湧く。ドアが閉まり、深刻な表情でコンダクターさんと何やら 話し合った後、運転手さんはマイクを手に取りこう聞きます。

「JR稚内駅以外をご利用の方?」

誰も手を挙げない。私は途中駅で下車し、現地の市場を回ろうと思っていました。おそるおそる私が手を挙げる。
「ザッ」と車内中の人がこちらを向く効果音が聞こえる 気がする。

「お客さん、悪いねえ。急いでなかったら、先に稚内駅に直行してもいい?この人た ち、列車に間に合わないかもしれないんだってさ。」そう言う運転手さんに、私は、 もちろんです、急ぎましょう、と答えました。運転手さんは頷いてマイクをとり、

「えー、緊急事態のため経路を変更します。いつもより余計に軽やかに進みますので お気を付けください。」茶目っ気あるアナウンスに、笑いが起こり、車内の焦った雰囲気が弛緩し、一体感が生まれる。

バスは猛スピードで稚内駅を目指し、何とか時間前に到着しました。乗客が次々運転 手さんにお礼を言って降りてゆき、事情を聞いたコンダクターさんは、「ありがとね、食材探し、頑張ってね。」と声をかけてくれました。

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乗客皆が降りた後、運転手さんは大きなバスに私一人を乗せて、目的地の市場まで直接送り届けてくれました。私が旅の事情を話すと、運転手さんは島のいろいろな情報を教えてくれました。

お礼を言って運賃を払おうとすると、 運転手さんは、こう一言。
「ご協力のお礼に、お代は要らないよ。」

当時の外気は15度。それにも関わらず、心は温まり、まだ見ぬ土地へ行く気合も高まったあのバスには感謝です。

写真 文  
辻原 真由紀

2016年09月29日

お知らせ

営業時間変更のお知らせ

9月30日(金)18:00〜22:00(L.O.21:00)
棚卸し作業のため、ディナータイムからの営業となります。
 
10月からは、不定休に変わります。
 
営業時間:11:30〜14:00 18:00〜22:00

      L.O. 21:00
月曜日はディナータイムのみの営業となります。 
定休日: 不定休

 

ご来店を予定されていた皆様には

ご迷惑をおかけいたしますが、
宜しくお願い致します。

2016年09月15日

行商日記

行商日記 第24回

今から7年前の2009年10月1日、キッチンカー販売の初日を迎えました。
メニューは「さざえカレーとさざえの壺焼きセット」で、価格は税込み1,000円。

販売場所は東京·勝どきの路地裏で、鉄工場の玄関スペースを間借りした場所でした。
朝5時に起きて自宅でご飯を炊き、7時に千葉を出発し、勝どきに到着したのが8時30分。

販売開始が11時だったので、メニューのPOPをどうやって飾るかとか、釣り銭の準備とか、ソワソワと落ち着かない時間を過ごしつつ、いよいよ販売開始となりました。

さあ売ってやるぞ、という意気込みだけは勝どき界隈で一番あったと思うのですが、
いかんせん路地裏ということもあり、人が全然通りません。

「···まずいな」

販売開始から1時間が過ぎ、一個も売れない状況が続きます。
どうしよう、どうしよう、と気が焦るばかりで打開策は見つからず、
ぼくはとてつもない失敗を犯してしまったのではと全身血の気が引く思いをしていました。

そして、一個も売れない状況が2時間続いた頃、一台の自転車が目の前で止まりました。

「あっ!」

自転車に乗っていたのは、カニくんというあだ名の男性で、
以前、島がらみのイベントで知り合った方でした(現在、カニくんは対馬に移住しています)。

「いやあ、販売初日だから来ましたよ」とカニくん。
「大盛況でしょ?」とぼくは涙ぐみそうな気持ちをぐっとこらえて、うそぶきました。

カニくんは自宅の埼玉からわざわざ自転車で勝どきまで来てくれたとのこと。
さざえカレーを購入していただき、その場で食べてもらううちに、
通りかかった方が数人、ご自宅用にカレーを購入してくださいました。

カニくんと会話をしつつ、カレーを販売しつつ、気が付いたら昼の営業時間が終わっていました。初日のランチの売上は11,000円。新札の千円札やくしゃくしゃになった千円札が11枚金庫におさまる映像は今も脳裏に焼き付いています。

その後、カニくんと別れて、ぼくは夜の営業場所である神田へと車を移動させました。
この神田の路地裏の駐車場で、ぼくはとある女性と出会うことになります。

文 佐藤 喬
写真 幸 秀和

2016年09月15日

離島入門

離島入門 第8回 食材探しの島旅 利尻島1

離島キッチンでは毎月スタッフ1名が好きな離島に「食材さがしの旅」に出かけます。
そこで出会った農産物や海産物、現地の方々のお話しをもとに、
月替わりの「今月の島の特別メニュー」をお出ししています。
およそ一年前、私が離島キッチンのスタッフ募集に出会った時のことです。
給与、休日、福利厚生...。
求人募集を見るときはこういった条件を見なくてはならないのかもしれませんが、
とにかく仕事はその内容で決めよう、と思っていた私の眼には
それらの項目は殆ど目に入ってきませんでした。唯一、私の目に飛び込んできたのが、
 
「福利厚生:食材探しの島旅(約1週間)」
 
の1行。そんな福利厚生聞いたことない。
 
知らないところに行って、まだ見ぬ食に出会う。それまで旅は好きだったけど、
自分の見たいものを見てやりたいことをやるいわば「消費の旅」。
でもこれは違う。小さい頃の憧れだった某人気旅番組のミステリーハンターのように、
自分で足を運び、触れて確かめたものを沢山の人に紹介する。
企業勤めの頃は旅が好きでも、行ける機会は滅多にありませんでした。
自分の旅を通して他の人にわくわくを与えられたら。ああどこに行こう。

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と、まだ採用も決まっていないのに自分の妄想は膨らみました。
 
今でも、食材探しの島旅企画のことをお客さまにお話しすると、
「うわ~楽しそう!」と 目をキラキラさせる方が多いのも、「島旅」という言葉に素朴さや、
自らの足で何かを探す真っ直ぐさや強さへのイメージがあるからなのだろうと思います。
 
神楽坂店のオープン以来、毎月スタッフが島へと旅立っていきました。 
こうさんは小豆島。
佐藤さんは石垣島。
菊地さんは八丈島。
松本さんは対馬。...
皆帰ってきたときは、島の食材のみならず、歴史や島の人たちの暮らしぶりまで知っていて、
それぞれの島のエキスパートがお店に増えていきました。
 
そして、2016年6月。ついに私の番。
「辻原さんはどこの島に行くの?」
 
なんとなく、じめじめしている苦手な梅雨を忘れられるところに行きたい。

なんとなく、冬生まれだし涼しいところに行きたい。
そういえば、尊敬してやまないあの歌手の出身地は北海道。
あれこれ考えながら、だしを取ろうと手に取った昆布の「利尻昆布」の文字。

そういえば、あの大好きな銘菓「白い恋人」のパッケージは利尻島の風景らしい。
チョコが好きなら見てきなさい、と誰かに言われている気がする。

「私、行き先は利尻島にします。」
私はなんとなくの直感を頼りに、利尻島を目指し、羽田空港から稚内へ向けて出発したのでした。

文 辻原 真由紀
写真 幸 秀和

2016年09月15日

献立紹介

【鶏飯】奄美大島・鹿児島県

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茶碗に盛った白飯に、ほぐした鶏肉、錦糸卵、椎茸、漬物などの具材とネギ、
きざみ海苔、陳皮(ちんぴ:干した柑橘類の皮)などのといった薬味に、丸鷄から取ったスープをかけて食べる料理です。
奄美市笠利町の鶏飯元祖「みなとや」さんの味をご堪能ください。

写真 文
幸 秀和

2016年09月15日

物販紹介

【大島紬】鹿児島県・奄美大島

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1300年の歴史をもつ大島紬は、 世界三大織物にも選ばれる 日本を代表する織物です。
「染め」「織り」に30近くの工程があり、 一反織られるのに半年以上もかかります。
華やかな印象の「龍郷柄」や 落ち着いた雰囲気に十文字が入っている 「秋名バラ柄」は女性物の最高位。 男性物の最高位は西郷隆盛の名を冠し、 最高の技術が要求される「西郷柄」 などがあります。

写真 文
幸 秀和