2017年08月06日
離島入門
離島入門 第21回 食材探しの旅 利尻島 13【更新終了しました。これまでご覧いただきありがとうございました】
利尻島 3 日目。その日私は島の甘味を食べ歩いていただけではありません。
もう一つ、大事な大事な食材ストーリーがありました。
利尻島には二つの町があります。
今日は滞在していた利尻町のお隣、利尻富士町の食材探しの日。
「利尻富士」というのは島の中央にそびえる利尻山の別名で、
「今日は利尻富士がきれいに見えた〜」などというのが島の人々の挨拶になっていて、
いかにこの山が島の人にとって特別な存在かというのを知らされます。
もう一つこのシーズンの島の人にとって特別な存在、それはウニです。
私が訪れた6月はウニ漁がちょうど解禁になるころで、人々の話題も、
今年はウニがどれくらいの量獲れているかとか、どれくらいの値段がついたとかといった内容なのが利尻らしい。その日の朝は、今日初めてバフンウニが鬼脇(おにわき)港で揚がった、と島内で噂になっているのを耳にしました。
まずは漁業協同組合へ。漁協が島にあれば離島キッチンスタッフは必ず訪れます。
その島で取れる海産物の情報を仕入れる絶好のチャンスがそこには眠っています。
訪れた6月はまさにウニ漁のシーズン。ウニ漁は漁協によって管理されており、
早朝に島内のアナウンスでその日は何漁が可能か知らされます。
何でも個人の自由で獲ってよいわけではないんだな、と自身の無知を少し恥じましたが、こういった島で当たり前の仕組みを島外の私たちは知らないことが多いです。
利尻漁協を訪れると朝早くに上がったウニの殻をむき、選別しているところでした。
私にとって、この光景は島らしさが溢れていて利尻カレンダーを作ったら
6月はウニ漁のシーンだなあ、とぼんやり考えていました。
詳しい海産物のお話を聞くべく、対応してくださったのは漁協の入井さん。
この頃になると、どこそこ構わずノートを開く姿勢がついていて、リュックを背負い、
ノート片手に入井さんに質問を投げかけまくる私の姿は小学生の社会科見学さながらだったことでしょう。
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利尻でとれるウニには 2 種類。
キタムラサキウニ…島の言葉ではノナ。
薄い色で比較的あっさりとした身。ウニの殻の棘が長い。
エゾバフンウニ…利尻で「ウニ」といえばこちら。
前者と比べると高値がつき、オレンジ色の身と濃厚な味わいが特徴。
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しっかりメモをとり、満足し時計を見ると、ちょうどお昼時にさしかかっていました。
写真 文
辻原 真由紀