2016年11月16日
行商日記
行商日記 第29回
外国製のキャンディーのようにカラフルな風船がイベント会場を彩
それまでは、
ぼくと離島キッチン号はこの華やかな会場になんとなく浮き足立っ
さて。
ぼくは今回の販売で新メニューを投入することにしました。
その名も鹿児島県奄美大島の「奄美鶏飯(けいはん)」。
鶏飯とは、ご飯の上に、鶏肉やしいたけ、
温かい鶏ガラスープをかけて食べる奄美大島の郷土料理です
そして、いよいよ販売がスタートします。
お客様の数は、今までの路地裏に比べて数百倍もいると思われ、
ぼくは会場の風船よりもパンパンの期待で胸がいっぱいでした。
が、しかし。
ぼくの甘い期待はあっさりと裏切られ、
お客さまはチラリとメニューPOPを見るも、
キッチンカーの中でお客さまを待ち続ける状態というのは、
誤解を恐れずに言うと、
海の中にたくさんの魚が泳いでいるのに、
昔、何かの本で、
ぼくはそんなに短気ではありませんが、
待ち続けるほど、気が長いわけではありませんでした。
よし、素手で掴みにいこう、とぼくは意を決します。
ぼくはキッチンカーを降り、
「離島キッチンです、奄美大島の鶏飯を販売しています。
雑踏でのティッシュ配り以上のスピードで、
ぼくは一気に100枚のショップカードを会場のお客さまに配りま
配り終えた達成感を胸にキッチンカーに戻ろうとしたその時。
想像もしなかった衝撃的な光景がぼくの目に飛び込んできました。
文 佐藤 喬
写真 幸 秀和