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2017年02月14日

離島入門

離島入門 第14回 食材探しの旅 利尻島6

初めての人に会う時や電話をする時、必要以上に緊張してしまう自分の癖は、
8か月前、初めて海士町に行った時からあんまり変わってないなあと思いました。

「いらっしゃい!こっちだよ!荷物持つよ!さ、上がって上がって!」
宿泊予定の味楽の玄関で、元気よく出迎えてくださったのは、お店のおかあさんの祐子さんです。

相棒の巨大スーツケースが一瞬で味楽さんのお家に受け入れられた安堵感と、分け隔てのないおかあさんの明るさに、これから自分の経験することに対するワクワクがすでに戻っていました。緊張からワクワクへ行くまでの時間が昔よりも短くなったのは、島旅に対する度胸が少しついてきたかもな~なんて安易な考えが脳裏をよぎります。

一通りお宅の中の設備について、泊まらせていただく2階にある部屋で説明を受け、おかあさんは、一枚のTシャツを私に手渡しました。お土産?と呑気に考えていると、
「さ!時間!」と、おかあさんは下の階を指さしました。 

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1階はお店になっています。気づいてみれば、お店がオープンしたばかりの時間でした。手渡されたのは、お店のユニフォームで、泊めていただくせめてものお礼に、とお店を手伝わせていただく約束をしていたのでした。

忙しい時間にお邪魔してしまった自分を反省しつつ、慌ててTシャツに着替え、
お店の厨房に出ていきます。

「やあ、いらっしゃい~」

おとうさんは、手際よくフライパン片手にスープと具材を炒めながら、顔を私の方に向けました。客席を見渡してみると、ほとんど満席。店内のスタッフさんは忙しそうに動き回っています。すいませ~ん、すいませ~ん、と何組かのお客さんが呼んでいる。

「じゃあ早速、あちらのお客さまの注文とりに言ってくれる?
 うちのメイン商品は『焼き醤油ラーメン』だからね」
店内の忙しさに反して、お父さんの口調はとても穏やかです。

ユニフォームに袖を通してから数分。突然迎えた局面です。
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写真 文
辻原 真由紀