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2017年07月14日

離島入門

離島入門 第18回 食材探しの旅 利尻島10

旅に出たい、と思う時、皆さんはどんなきっかけを持つでしょうか。

人によって様々ないきさつや理由があると思いますが、「アレが食べたい!」というのも一つの大きな動機になります。そういう時決まって「アレ」というのは普段食べられない何か。その土地の郷土料理だったり、地元ならではの食材を使っていたり。

利尻で私が目指した「アレ」とは「北利ん道」というお店の「愛す利尻山」。
ウニと昆布を使ったアイスクリーム。
最初に聞いたとき、さすがの私もその組み合わせに怯んだほど。
しかし、食べた方々は口々に「アイスとウニと昆布が合う!」「見事なマッチング」 とインターネットにも書き連ねている。北の島でアイスの革命が起こっているのかもしれないので、行かなければという使命感でお店を目指します。

お店はすぐに分かりました。中を覗き込んでみると、沢山のお客さまの中にエプロンをした女性がひとり。その方こそ、このアイスをつくられている平川さんでした。
主婦の平川さんは、様々なアイデアで特許をとり商品開発をされているというインタビュー記事を見たことがありました。私がお店に入ると、忙しそうにも関わらず、
笑顔で「いらっしゃいませ」と声をかけてくれました。

一通り店内の品物を見て、お客さまで忙しそうだったので、ちょっと時間の経ったころに来よう、と私は一旦お店を出ることにしました。

離島キッチンに関わり始めて、飲食店を「お客さま」目線と同時に「お店側」目線で見るようになっていました。混み合うとき忙しさとか、高揚感も感じながら、お客さまとして完全にお店を味わえているかは分からないけれど、一つの物事を別の側面から見ることで少し世界が広がった気がします。

しばしの間島内を散歩してお店に戻ってみると、店内では平川さんおひとりで作業をされていました。

「さっきはごめんなさいね~バタバタしていて。」

私はついに念願のあのアイスの名前を口にしました。

「『愛す利尻山』をください。」

北利ん道

写真 文
辻原 真由紀