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2017年01月31日

離島入門

離島入門 第13回 食材探しの旅 利尻島5

 

利尻滞在2日目。私は宿泊予定のラーメン屋さんに向かいながら、ここへ向かういきさつを思い出していました.。

……

「辻原さん、利尻島にミシュランガイドに載ったラーメン屋さんがあるんですよ。」
「え?」 

とある日の午後、洗った食器を拭きながら、アルバイトスタッフのはまちゃんが放った一言に、私は食い気味で聞き返す。 

大学時代、利尻島でインターンをしたことがあるはまちゃんは、そのラーメン屋さんに泊めてもらったそう。噂によると利尻らしく昆布だしを使ったラーメンらしい。そんな彼女の一言が頭の片隅にあったのも、利尻を行き先として選んだ理由のひとつでした。
焼き醤油らーめん 

店の名は味楽(みらく)。
お父さんとお母さん、ご夫婦2人で力を合わせやっているお店です。 

利尻行きを決めた私は、そんなラーメン屋さんの話を思い出し、 
すぐさま味楽さんのご夫婦を紹介して!と、はまちゃんにお願いをして、利尻滞在中に宿泊させていただけないか電話してみることにしました。

東京にいる、しかも知らない人間から電話、泊めて欲しいという突然のお願い。今考えれば、何とも非常識なお願いの仕方にも関わらず、電話に出た味楽のおとうさんは、

「うんうん、わかった~いいよ~」と快諾して下さったのでした。

どんなにお店が忙しくてもその素振りを見せず、穏やかでいるおとうさんの人柄そのものです。

利尻行きに宿探し。東京での準備が、あまりにトントン拍子に話が進み、「私、こんなにラッキーで運使い果たして無いかな?」と、すぐ不安になり、「でも、まあいっか!」と 楽しみが勝って楽観的になってしまうのが私の性格。 

…… 

相棒の巨大なスーツケースを島中ゴロゴロゴロと転がしながら、島の人たちが奇妙がって私の大荷物に向けてくる視線に気づきながら、そんなこんなでラーメン味楽さんの玄関にたどり着きました。
味楽玄関
ここでは、どんな人との出会い、体験が待ってるんだろう。 
巨大スーツケースを引いた変な人、が第一印象だったらどうしよう。
「人の印象は見た目が9割」って何かで読んだな。動悸がしてきます。 

島の人たちはお宅を訪ねるとき、インターホンなどは押しません。ご近所さんが、こんにちはー!と勢いよくガラっとドアを開けて入ってくる、島でよく見る光景を思い出す。 

勢いよく、元気よく。まるで島の人みたいにさりげなく。怪しくなく。
私は味楽さんのお宅の引き戸を勢いよくガラッとあけました。

「こんにちは」 

戸を開ける勢いとは裏腹に、 挨拶の最後の「は」を言う私の声は震えていたかもしれません。

写真 文
辻原 真由紀