掲示板

2017年08月06日

献立紹介

【ぬかほっけ】北海道・奥尻島

_MG_7908
島を代表する鮮魚でもある「ほっけ」。
今回はこのほっけを独自の方法でぬかにつけ焼き上げました。
ほどよい塩味が効いた濃厚な味わいは、ご飯や日本酒のお供にピッタリな一品です。

文 佐藤 友洋 
写真 幸 秀和

2017年07月26日

離島入門

離島入門 第20回 食材探しの旅 利尻島 12

お腹がすいたけれど、何が食べたいのか分からない。という経験、
みなさんにはないでしょうか。
何か作ろうと思ってスーパーに行っても、売り場で何を買おうか結局決まらない。
私にはそんな時がたまにあって、ああ、疲れ気味かなあ、と自己の体調のバロメーターにしています。
往々にして、本当は食べたいものがあるはずなのですが、疲れや悩みや不安がその邪魔をしている気がします。そんな時はしっかりと睡眠をとって心と体に耳を傾ければ
本当に自分の食べたいものが見えてきます。

利尻島滞在 3 日目にして早くも己の健康的なペースを掴んだ私には
「あれが食べたい!」 という欲望が溢れてきました。
利尻島3日目の朝

利尻島には二つの町があります。この日は私が滞在していた利尻町のお隣、
利尻富士町を回る予定にしていました。
案内してくださったのは役場と地域おこし協力隊の方。
これが、今日私が訪ねたい所と希望するスケジュールです!と、紙をお渡しします。
紙には時間、場所、行動の欄にはもはや行うことではなく
その時間に食べているであろうものが書いてあります。
早速、そのスケジュール通りに富士町の旅に出ることに。



11 時。寺嶋菓子舗さんのプリン。
利尻プリン
クマザサという北海道に自生する笹を使っており、口に入れると香りがする。
ここのお店には利尻山を模したメレンゲ菓子もある。


12 時。亀一さんのハスカップソフト。
万年雪ソフト
濃厚なソフトクリームの甘酸っぱいハスカップソース。
代表の山田さんはおもてなし精神あふれる方。デパートでの催事も行なっている。


13 時。TSUKI CAFE さんのチョ昆布ラウニー
(ラム酒漬け昆布入りのチョコブラウニー)
チョ昆布ラウニー
島食材を使ったケーキ。温める方が食感と香りがして美味。


14 時。利尻ホテルのこんぶらん。 (昆布を使ったモンブラン)
こんぶらん
見た目が美しく上品。ネーミングセンスも素敵。

一歩下がった位置で「まだ召し上がるんですね」とつぶやく、同行してくださった
利尻のみなさんの笑顔が心なしか引きつります。

ここまでくるともはや勉強じゃなくて、食べたいだけなのでは?
と疑問を抱かれるかと思いますが、私には一つの密やかな野望がありました。

それは、島食材のデザートをお店で出すこと。

結局この時は、お店で出すものを決めきれずに実現することは叶いませんでした。
この夢は次なる私の企画、約半年後の伊豆大島企画の際に実現するのですが、
そのお話は、また今度。

写真 文
辻原 真由紀

2017年07月26日

移住入門

移住入門 第16回

普段は出会うことのない食材、調理法。
知らないものに出会ったあの感覚は、いつまでも鮮明な記憶として残っています。
ご当地グルメにはそんな力強いパワーがあるような気がします。

DSC_0080
小豆島には多くのご当地グルメがありますが、
中でもひと際有名なのが小豆島の食材をふんだんに使用した丼。
その名も「ひしお丼」です。

ひしお丼ですが、小豆島と旅行専門雑誌「じゃらん」との共同企画で生み出された
ご当地グルメです。

そもそも「醤(ひしお)」ですが、塩を加えて発酵させた塩蔵品の事を指し、
昔から加工貿易が盛んな小豆島では島外から調達した大豆などに塩を加えて加工され、醤油が生産されていました。
島の東側に位置する、馬木地区や苗羽地区では明治以降に繁栄した醤油蔵が現存されており、醤の歴史を感じられる街並み、「醤の郷」があります。

そして、ひしお丼には条件があるのですが、
一つ目は、「醤の郷」で作った醤油やもろみを使用していること。
二つ目は、小豆島の魚介、野菜やオリーブなどの地元の食材を使用していること。
三つ目は、箸休めにはオリーブか佃煮を使用していること。

以上の条件を満たしたものが、ひしお丼として提供されているのです。

お店によっては、お魚がメインであったりお肉がメインであったり、
さまざまな調理方法で多種多様なひしお丼を楽しむことが出来ます。

写真は小豆島オリーブ園さんにあるオリーブパレスのひしお丼で、小豆島産のオリーブオイルともろみ味噌を使用したそぼろ肉に島の野菜をふんだんに使ったひしお丼です。

島内には十か所以上のお店でひしお丼を食べることができるそうですが、
ひしお丼の食べ比べをするのも面白いかもしれませんね。

小豆島の食の豊かさに触れることができた、そんなひしお丼でした。


つづく。

2017年07月23日

行商日記

行商日記 第35回

NHKの放送がある時間、ぼくは秋葉原のヨドバシカメラにいました。
17時のニュースが始まり、離島キッチンの放送は17時30分頃。

ぼくはNHKを流している10台のテレビの前のソファに座り、
大学受験の合格発表を待つような気持ちで放送を待ち続けていました。

「それでは、次の話題です。都心でちょっと変わったキッチンカーを見つけました」

テレビの画面が切り替わり、見覚えのあるキッチンカーが画面に映し出されます。
画面のテロップには、「離島キッチン」の文字。

ぼくはテレビ画面を見つめながら、この「非日常」に頭がクラクラしてきました。
10台のテレビ画面に映し出される離島キッチンの車体が懐かしく思えます。

そして接客をするぼくの顔が10台のテレビ画面に映し出されました。
番組のナレーションは一切、頭に入ってきません。
テレビ画面で何かを話しているぼくの顔が、全くの別人にしか思えませんでした。

時間にしておそらく5分ほどの番組だったと思うのですが、
体感としては5秒にも5時間にも思えるくらい、時間の感覚が欠落していました。

そして、離島キッチンのコーナーが終わり、番組は別の画面に切り替わります。

···ガヤガヤ、ガヤガヤ。

ようやく自分の耳に、店内の雑踏やテレビの音など現実的な音が届き始めます。
わずかな時間ではありましたが、ぼくは別の世界に紛れ込んでいたような感じでした。

そして、現実的なノイズに体と耳が慣れはじめてきた頃、
ぼくは、今まで経験したことのないような虚無感に襲われました。

ちょっと落ち込んだりというような生易しいものではなく、
圧倒的な力で胸の奥に屹立する純度100%の虚無感。

立ち上がるのも億劫だし、呼吸をすること自体も面倒臭いと思えるような感覚。
ぼくはこのままヨドバシカメラのソファに溶けて消えてしまいたいとすら思いました。

どれくらいソファに座っていたのか、今となっては思い出せません。
ただ、その虚無感からかろうじて救い出してくれたのが、
テレビ画面のフクロウでした。

理由はわかりませんが、とにかくフクロウの姿をみて、
ぼくはすこしだけ元気が出ました。

NHKと虚無感とフクロウ。

その後、数週間にわたってテレビや新聞の取材が立て続けに入り、
ぼくは紙皿や割り箸のような「消耗品」になった気分をしばし味わい続けます。

そんな折、ある「お誘い」が舞い込んできました。


文 佐藤 喬

2017年07月23日

移住入門

移住入門 第15回

三連休となると島のあちらこちらで県外ナンバーの車を見かけます。
多くは姫路や神戸、大阪などの京阪神や四国ナンバーが多いのですが、
遠くは品川や鹿児島とかまでちらほらと。
また、細い道が多いゆえに軽自動車率が高い島内ですが、
普通乗用車を見かけるとそれは県外ナンバーが多いような気がします。

小豆島に来てからは何かとスポットや行事は口コミや自分で調べて行くことが多かったのですが、色んな人との交流関係も増えてきた今日この頃は、生まれも育ちも島の人と仲良くなることが多くなり、今まで入ってこない情報も入ってくるようになりました。
そんななかで、島の人に知る人ぞ知るような島の中のスポットに連れて行ってもらった今週末です。

DSC_0007
その一つのスポットが銚子渓の滝。
某動物番組でも紹介され、尋常じゃないお猿の数とその距離感にびっくりするお猿の国のすぐそばにあるのが銚子渓です。
そして、そこの渓谷に流れる滝はここ数日の猛暑をかき消すような涼しげなもの。
島という限られた面積にもかかわらずこんなにも水量があるのかと驚くような水が下っては落ちていきます。
この水が虫送りの回で紹介した棚田の稲の生育支える重要な水となっているそうです。

そして何より滝の上から見るスポットは写真以上の迫力があります。
高低差は数十メートルあるように見える滝は、
滝の落下地点を見下ろす事なんてできるわけもないくらい高さがあります。
こういうダイナミックな自然に触れることは改めて「今は島に住んでいるんだ」と認識する一コマになります。

島内には他にも滝がいくつかあるそうです。
また今度滝巡りの回を設けたいなと思います。


つづく。

2017年07月14日

離島入門

離島入門 第19回 食材探しの旅 利尻島11

私は学生の時、美術史を学んでいたのですが、
その中に「ディスクリプション」の練習というのがありました。

「ディスクリプション」とは、description=説明する、という意味で、ひとつの作品、たとえば絵画なら、そこに描かれているものの形や色や配置をすべて言葉で説明する、というものです。絵画をひとつひとつ言葉に直していくと、計算された構図に気づいたり、作者の作品の傾向が浮かび上がってきたりして、
ただ何となく作品を見るよりも新しい発見や感動があり楽しいです。

利尻島の「愛す利尻山」は、まさにこの「ディスクリプション」をしたくなるアイス。
以下、アイスを想像しながらお楽しみください。

紙のカップの中には先ず、つややかな白色のソフトクリーム。
その上には乾燥ウニがひとつ。そのウニを山頂に、山の片側の袖にはクランチのようにも見える乾燥ウニのパウダーが雪のように降り積もります。
その反対側にはうすい昆布と、平川さん手作りの昆布からつくったお塩。
最後にインパクトなのが、なんと乾燥昆布で作ったスプーンで、
口に入れる部分は丸く平たく、取っ手の部分は昆布をねじって作ってあります。

食べ方の丁寧な説明をひとしきり伺った後、
その通りに震える手でまずは乾燥ウニを一口、昆布スプーンでアイスをすくいます。

「!!」

一見、本当に合うの?と思ってしまう、昆布・ウニとアイスクリーム。
しかも利尻の名産の食材を使っていると、キャッチーさを狙ったのでは?と思われがちなのですが、そんなことはないのだと一口で納得できます。乾燥ウニは味が凝縮され生臭さがなく、食感もソフトクリームとあいます。また、昆布の旨味がアイス全体の個性となって前に出すぎることもなく、アイスを立てつつ縁の下の力持ち的な役割を果たしておりしみじみ感動します。まさに、食材と食材の相性を計算してつくられたアイス。
しかもそれらの食材が利尻の名産。なんということでしょう。平川さん、さすが!
また、アイスを食べ終わったあとはスプーンの昆布も食べてしまうことができるとは、遊び心も満載だ。

「……」

上記のディスクリプションを延々無言で心の中で繰り返す私を温かくおもてなししてくださった平川さん。

あ、そうだこれは仕事だ! アイスで一瞬忘却の彼方に行っていた「仕事」の二文字が戻ってきます。アイスをいただきながら、商品のアイデアを食材メモしていきます。


昆布から作ったお塩。
昆布に海水を付け何度も干すことで作ったお塩。この作り方で平川さんは特許を取得。昆布の旨味が凝縮されており、水に溶かして混ぜると粘りが生まれるのでドレッシングとしても使える。また、アイスにかけても甘味と旨味が引き立ち美味。


子育てなどお忙しい中「特許をいつか自分でとって、商品をつくりたい!」という思いで、ご自身ならではの発想で次々とつくられる商品には素敵な夢がつまっていて、
忙しくてもやろうと思ったことはできるんだ、ということをまさに示していらっしゃる方です。

もし、また利尻に来ることがあったら必ず食べに来たいアイスと同時に、
利尻に来ることがあったら必ずお会いしたい方に出会えました。

愛す利尻山
【お店と商品の情報】
北りん道 さん
住所: 〒097-0401 北海道利尻郡利尻町沓形字富士見町136番地134番地 利尻にお立ちよりの際は是非行ってみてください!

写真 文
辻原 真由紀