今月の島

鹿児島県・三島村(竹島・硫黄島・黒島)

「気まぐれでやってきて、最初はえらいところへ来てしまったなどと思ったものだが、こんな俗離れのした太平楽なところは、他にはないような気がする」
これは、有吉佐和子さんの『私は忘れない』の作中で、三島村を訪れた都会育ちの主人公の台詞です。
 三島村とは、鹿児島県の南に浮かぶ三島(竹島・硫黄島・黒島)の総称です。フェリーは週四便のみ。人口は三島合わせても四百人程度。商店のない島もあります。村には高校がなく、中学卒業とともに子供たちは進学のため、島外に渡ります。どこでも携帯の電波が通じるわけでもありません。
 そんな三島村で滞在するうち、色々なものに出会いました。アクの無い絶品の竹島の筍、七色に変わる硫黄島の美しい海、のびのびと草をはむ黒島の牛、わけ隔ての無い人々、ゆったりとした時の流れ。三島村では、 すれ違えば子供から大人まで必ず挨拶をし、農業・料理・竹細工・釣り・お喋りなど、それぞれが得意分野を持ち、個性に頼り合いながら暮らしています。
 島の暮らしは必ずしも楽なものではありません。しかし、都会に住み、働く私たちが忘れてしまいがちな 「強さ」や「豊かさ」がそこにはあります。三島村の料理が、東京の真ん中で忘れてしまいがちな「何か」に気づくきっかけになれば幸いです。

鹿児島県・三島村(竹島・硫黄島・黒島)の場所